オートクチュール刺繍作品のこと
刺繍枠にシルクオーガンジーを張る。
刺繍用のかぎ針と刺繍針を使って
糸、ビーズ、スパンコール、さまざまな素材を
ひと針ひと針刺繍していく。
当アトリエの作品は
モノトーンを華やかに
カラフルをシックにまとめる色づかい
そしてその都度記憶の底からすくい上げて表現する独特なデザインが特徴。
オートクチュール刺繍との出会い
それまで自己流で制作してきた刺繍ジュエリー。
刺繍が大好きでたくさんの写真や資料を見るうちに、オートクチュール刺繍というものがあることを知った。
あらゆる素材が職人の手で美しくまとまっていく世界。
だんだん、私もこんな刺繍ができるようになりたいな、って思うようになって。
私の世界を広げてくれそう、と。
都内のアトリエの教室を見に行ってみた。
教室に飾られた美しいサンプルの数々。美しいだけじゃない。シックで大胆で精緻で。どうなっているんだろう?どうしてこんな風に表現できるんだろう?
教室は遠いけれど勇気を出して通ってみることに決めた。
はじめはテクニックを身につけることに一所懸命。
慣れない道具、これまで扱ったことの無い素材。
少しずつ慣れると、デザインに沿って自分なりに試行錯誤するようになって。
何年も通うなか、なかなか自分のものができないと焦った時期もあったけれど、その間だってただ刺すことは楽しい。
いつもこれが大好き、それは変わらない。
そうしているうちに出来上がってきたのが新しい刺繍作品たち。
心の中にある情景をそっと取り出して小さな空間に表現していく。
それを助けてくれるのは学んだテクニック、たくさんの素材、色、質感、かたち。
自分と素材とをテクニックで一つの空間に縫いこんでいくそのとき、いつも羽ばたくように自由でいられますように。